前回の記事でシステムについて書きましたが、
今回は当時の初級修了試験(5年生修了)について触れようと思います。
初級修了試験とはCompimento Inferiore(コンピメント インフェリオーレ)とも呼ばれ、直訳すると、『低級修了試験』とあまりにも悲しい響きになってしまうので、初級と勝手に訳させてもらいます。
…まずは、読み進めてください。
以下、課題です。
ーエチュード 13曲(初級指定のエチュードより)
*リストop.1や、ポッツォーリの中級エチュードなど
ーJ.S.バッハ シンフォニー(3声)より3曲
ーJ.S.バッハ イギリス組曲 2番と3番
*2番か3番、ではなく、2番と3番!
ーイタリア人作曲家のチェンバロ曲:3曲
*スカルラッティなど
ー以下のソナタから1曲(全楽章)
モーツァルト
クレメンティ
ベートーヴェン(5番、6番、10番、14番、24番の中から選曲)
ー以下、指定曲より1曲
ショパン:ボレロ、即興曲(変イ長調)、ワルツ op.34n.1、 op.42、 op. 64 n.3
ポロネーズ (嬰ト短調)、プレリュード6曲
ウェーバー:Rondò brillante(変ホ長調)、 舞踏への勧誘
シューベルト:即興曲op.90 n.2、op.90 n.3
シューマン:ウィーンの謝肉祭、蝶々、 森の情景(6曲以上)、
アルバムの綴り(6曲以上)
リスト:”Rossignol”、コンソレーションより1曲
ドビュッシー:子供の領分(全曲)
ースケール 全調(平行調とセット)
ースケール 反進行 全調(平行調とセット)
ースケール 平行3度 全調(平行調とセット)
ースケール 平行6度 全調(平行調とセット)
ー新譜の初見
…書いてて疲れました(笑)
もちろん、審査員も全部聴いたら気が狂ってしまうので、エチュードは受験者が3曲事前に選び、試験当日に残りの10曲から1曲、くじ引きで決まります。
バッハも、イギリス組曲2番、3番がそれぞれ前半グループ、後半グループと分けられ、それにシンフォニー3曲のグループ、と全部で5つのグループに分けられます。
その中からまたまたくじ引きでどれを演奏するかが決まります。
チェンバロ曲も、3曲の内、1曲がくじ。外部生はひたすら、くじ。
*内部生はほぼ100%こちらのプログラムは選ばず、内部生用のプログラムを選択します。
そっちの方が全然楽だから!!
スケール(音階)は審査員が調をその場で一つ指定したものを、通常のもの、反進行、平行3度、平行6度の全種類を弾きます。もちろん全調準備していかなければいけないのですが、余程意地悪な審査員に当たらない限り、♯5つの調とかは選ばれないのではないかと…。
当時は、真夏にしか試験がなく、もちろんエアコンなんて存在しないので、汗だくになりながら受験者も審査員もそれはそれは濃い時間を過ごしたものです…
それにしても、朝から夕方まで、ほぼノンストップで何人も審査する審査員…彼らの疲労に比べたら、受験者の緊張なんてちっぽけなものかもしれません。
あ、そして一応。公平にするため、必ず他の音楽院から客員審査員が派遣されます。
審査員長は必ずその音楽院の教員ですが!確か、審査員は3〜4名だった気がします。
因みにこの試験の受験資格は、ソルフェージュ・聴音・音楽理論の修了試験資格を有していること。
なので、私はこの試験の数日前に全ての試験を一気に受験→合格→初級修了試験、めでたく合格→入試免除の運びとなり、6年生に特別編入となった訳です!
音楽理論に関してのイタリア語の苦労はあったにせよ、日本で鍛えられていたため、聴音(楽譜起こし)は全く問題ありませんでした。
桐朋の『子供のための音楽教室』の先生方に感謝です!!✨
Haruna.